お寺あれこれ 24

〇家墓所整理と改葬が増える。
近年当山(光忠寺)の境内墓地でも、墓所の継承が出来ない方や遠方の檀信徒の方が何らかの理由で、使用されていた墓所を整理されて、遺骨を改葬されることが年に2件程あります。昔は遠方であれ、近くであれ必ずお参りがありました。またご自分が参られない場合は、寺に供養のため布施をお送り下さり盆、彼岸の法要に不在ではありますが、各法要でお勤め供養をして、あとで各家墓前に供養した塔婆を供えています。今年は、盆の最中に檀信徒の方がお亡くなりになり、子供さん(継承者)がおられず、光忠寺で、遺骨を預かり満中陰まで供養して、ご本人のご意向で事前に聞いておりましたので、その方の墓所を整理し、当山にある永代供養墓に合祀する予定です。近年墓地を持つためには、墓所(区画された墓地)の購入(実際には墓所を永代使用)し、また墓碑を建立しなければなりません。その為の大きな経費がかかります。また維持管理料など、先祖代々からの墓所を、子供や孫に継承されることは、これからは大変な時代です。墓地を持たれる方は、近くで、交通の便が良く、年老いてもお参りができる事が、一番の条件であるようです。経済的には個々に墓所を持つよりは、永代供養墓がある寺や本山の納骨堂や樹木(桜)墓地や骨仏の有名寺院に納骨するのも一つの考えです。この寺では永代にわたり供養をして頂ける寺院か、民営墓地や公共墓地でも清潔で綺麗な墓地であるか、維持管理がしっかりしているか、ご自分の考えとあった墓地であるか、見極めて墓所を選ばれることが大切です。お一人の方は、もしご自分にもしもの事があることを、考えて後見人というのか、死後の事も依頼できる人を健康な内に、決めておかないと、死亡届や葬式や相続で、回りの人に死後の事務処理等で大きな負担をかけることになります。法的には弁護士や司法書士の専門職の方々にご依頼されるのが、よいのではないでしょうか。たまたま今回このようなことがありましたので、皆様も今一度健康な内に、ご自分の記録帳なりもしもの時には、後に残った者が、困らないように事前に、後のことを考えた整理と準備が必要です、子供さん(後継者)に、ご自分の考えがわかることを、記しておくのも大切ではないでしょうか。墓は近くで、いつでもお参りができることが条件でなければいけないようです。それとこれからは一世代で継承する必要のない個人に対応できる墓が必要に思います。墓だけではなく色々な意味で、地域の小さな寺でありますが、その役割と対応を考えなければならない時代だと思います。

お寺あれこれ 23

お盆棚経 終わり
檀信徒の皆様と言葉を交わす機会というと、年一回、この盆棚経参りの時だけです。寺の行事や法要にお参りに来られる方以外はほとんどお顔を見ることがありませんので、この棚経が私住職にとっては楽しみでもあります。たとえ時間がなくお勤め以外にかわす言葉が、「暑いですね」という一言だけでもその方のお顔が拝見できて、お元気な様子が確認できれば私自身も安心します。またこの棚経にお伺いすることは、檀信徒の皆様の人生模様の一コマを見ることができます。古いクーラーをつけて頂き棚経を待って頂く方、住職を来るのを待っていただくおばあさん、クーラーがなく住職の背中をうちわであおいでくださる方、私自身はもったいなく申し訳ない思いです。またご夫婦、お爺ちゃん、おばあちゃん、お孫さんの家族一同住職と一緒に棚経のお勤めにお参りをされる方も何軒かおられます。また住職が来る時間をみはらかって仏壇の燈明と線香をつけてくださる方、棚経が終われば、後ろにお茶が出されお布施がおいてあり、私がお勤めおわりましたよー、と声をかけるとありがとうございました、と声が帰ってくる。ご主人は、奥様の介護で一緒にお参りが出来ないのです。私自身も複雑な気持ちで、ご用意してあったお布施をいただいき、次の檀家さんのところに向かいます。あるところでは、ご自身の透析が終わり、まだ時間がたっていない中、ご一緒にお勤めをさせていただきました。色々とお話を聞き、お力にはならないが励ましの言葉をかけ、次のお宅へお伺いします。中学生だったお子達が大学生に、社会人になられたのです。私も年をとるはずです。棚経が終わり立とうとすると腰がグーと痛くなるこの先が心配になる。昔は私住職だけで回っていましたが、今は半数を副住職が回っていますので、体力的には楽になりました。今年も目頭が熱くなりながら棚経参りを終わらせていただきました。