お寺あれこれ 93

そろそろ花壇の肥をやらないと思うのですが、外へ出ることも寒くてできませんので、コロナ禍のなか、普段できない倉庫の整理や本棚の整理をしています。今日は箱に納めてある大乗経典(巻物)を一度も見たことがなく、その経典を見てますと、書写された記録があり約3年間かけて書き上げたものでした。現代の私たちでしたら、印刷されたものや、デジタル化されたものを資料として手に入れるのが当たり前ですが、昔の方は、自分で経典(木版もあるが)を書写されたのにはおどろかされます、経典の最初の一字から最後の一字まで、乱れることなく美しい楷書で書かれた字には、書かれた方の深い信仰と継続した集中力には頭が下がります。
 寺の什宝物として、後世に保存しなければなりません。本堂や諸堂の老朽化は、目に付きますが、軸や経典や古文書などは目にすることなく時が過ぎ、埃や湿気で傷んでしまいます。必要な時に修理し記録して後世に伝えなければ、次の世代に残りません。しかし重要な文化財ほど修理費が掛かるのは、一般寺院には大きな負担です。
  

 

お寺あれこれ 92

元旦 本堂諸堂お参り
明けましておめでとうございます。旧年中はお世話になりました。今年もよろしくお願い致します。
 昨年暮れ12月30日に光忠寺の銘の入った涅槃図が帰って来られました。今から約四十年前に老僧(父)が預けたままの状態だったそうです。その方もお亡くなりになられた状況の中、老僧の一言を思い出し、私からもしやと思い、お尋ねしたところ、その方の倉庫から涅槃図が出てきました。          
 今となっては、誰も責めることはできませんが、無事お帰りになられたことは、何よりも有難いことです。しかし絹本と裂の劣化が進み、ひどい状況ですが、なんとか修復をしなければなりません。